全村避難の飯館村の今 福島原発事故被害の実態

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29日、春名なおあき元衆議院議員と四国ブロック事務所は全村避難が続く福島県飯館村の実態を調査しました。佐藤八郎村議から原発事故と復興を閉ざす怒りの声を聞くことができました。要旨次のような内容でした。

〇飯館村の1700戸が、家族が離れ離れになったことで現在3200戸になっている。うち飯館村が持っている仮設(福島、国見、相馬)に暮らす方が村民の3割、2000人。アパートなどに暮らす方が7割。福島市内に暮らす方は3000人。

〇4年以上にわたる避難生活は村民の健康、精神をむしばんでいる。震災一年目には130名がなくなった。その後年間70~90名がなくなっている。自殺も少なくない。102歳の高齢者が「私はもういらないでしょう」と自殺したことは大きなショックだった。広い一軒家に住んでいた生活から4畳半二間の生活に、知り合いもいなくなり、閉じこもりきりになり、認知症を発症する例もある。もう限界だ。

〇国は2017年の3月で精神的被害への賠償金月10万円を打ち切ろうとしている。一番問題なのは、いままで年間被ばく量1ミリシーベルトが上限と言ってきたものを科学的検証もなく年間20ミリシーベルトまでかまわないと緩和し、17年3月までに飯館に「強制的」に帰還させようとしていることだ。それに従わない場合は自己責任でもう賠償はしないという方向にすすんでいる。被ばく線量の大幅緩和は安倍政権が閣議決定したものだ。絶対に許せない。

〇2016年度から福島市飯野町に移転している飯館村役場を飯館に戻す。行政の不便が生まれるため、しかたなく戻る村民も生まれるだろう。また2017年3月に飯館に帰らざるを得ないのは、お金がない世帯、貧困世帯になるだろう。都会では賠償金も出なくなれば生活できないからだ。お金のない人は戻ってきていわば20ミリシーベルトまでの被ばくを受け、モルモットになるということだ。

〇飯館村の除染は村面積の15%の地域(居住地、水路、道路)に限られ、膨大な田畑や山林は手つかずのまま。それでも8月末で100万袋(一つ1トン)の除染ゴミが発生し、村のいたるところに置かれている(数百か所)。そのうち雨で数百袋が流出するという事故も発生している。ゴミ焼却場は日量240トン燃やす予定で16年7月から操業する。居住地周辺を除染しても、広大な山林が除染されておらず、風や雨でまた放射能が降り注ぐ。私の自宅のある場所では除染したのち20マイクロシーベルトを記録したところもあった。形だけ「除染した」というのではまったく意味がない。

〇ブランドだった飯館牛も壊滅状態。またもとに戻って畜産をする農家はほとんどないだろう。

〇結局安倍政権は、除染、賠償、避難などあらゆる面で住民の分断を持ち込み、「除染でもう大丈夫」「20ミリシーベルトまで大丈夫」と印象付け、さっさと「福島は終わった」としたいのだろう。被災者を置き去りにし、オリンピックにはフクシマ後の姿を見せるという黒い狙いがある。

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菅野典雄村長を表敬訪問。「生活支援をきちんとおこなうということを国は明確にしてほしい。20ミリシーベルトはどうかと思う。この未曽有の原発事故から何を学び受け継ぐのかが大切だ。そこらあたりをよく議論してもらいたい。」原発事故から全村避難し福島市の飯野支所を間借りしての苦悩な町の運営を余儀なくされてきた村長の率直な意見を聞きました。

春名氏は「原発事故は終息するどころか、ますます深刻さを増しており。分断、差別を持ち込み、はやくかたをつけようとしている国の姿勢は絶対に許せない。この生々しい実態を全国に知らせねば」と決意を語りました。

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